みどりの工作隊

雑草で紙をつくろう

身近な草や木で紙作り

徳島県立博物館 植物担当学芸員
小 川 誠


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講座で配布している資料のPDFファイルをダウンロード(常温・弱アルカリ法)

授業などで使えるよう道具類一式を貸し出しています.貸し出しはこちら

 

紙ってなーに?

細長い繊維が集まったもの.

鉄の板のように中身が均一になっているのではなく,細い繊維がか らみあっているので,薄くても丈夫で,折ったり切ったりできます.

いちばん古い紙はエジプトでパピルスという植物で作られたと言わ れていますが,今のような紙とは違って繊維をバラバラにせずに, パピルスの茎を並べてあんだものだったようです

紙ってどうやって作るの?

和紙はミツマタ,ガンピ,コウゾなどの植物から繊維を取り,水の中で紙漉をして作ら れます.繊維が長いので丈夫な紙ができます.しかし,植物の皮を使いますので,大量 には作ることができませんでした.一方私たちが日常使っている洋紙は樹木の幹を細か く砕きパルプにします.木材を使うことにより大量に紙を作ることができますが,森林 破壊の問題が起こっています.

 

自分たちで紙を作れるの?

自分たちでも紙をつくることができます.ひとつは,最近良くやられていますが,牛乳 パックを使う方法です.牛乳パックは強い繊維でできたパルプをビニールではさんだも のですので,そのビニールを取ってやれば紙として再生することができます.もう一つ の方法は,植物から繊維を取り出す方法です.洋紙のように木材から繊維をとろうとす ると,大がかりな機械が必要ですが,和紙を作るときのように木の皮を使ったり,草を 使うと繊維を取り出すことができます.

注意:アルカリ処理や鍋で煮る作業は危険を伴います.絶対に子供だけでやってはいけません.薬品を扱う知識のある人の指導の元で行ってください.

■紙漉枠の作り方

紙漉枠はホームセンターや手芸屋さんなどで売っている紙漉キットに付いていますが,自分で作ることも できます.木で四角い枠を作り底に網戸の網を張り付けます.ホッチキスで網をとめると良いでしょう.さらに,底の大きさと同じ大きさの網を2枚作ります.これを紙漉 枠の底に入れて,紙の材料を入れ広げた後に上にもう一枚の網を 乗せると,紙を取り出したり乾かしやすくなります.網戸の網が手に入らない場合は台所の三角こコーナー用の水切りの網でもか まいません.

紙漉枠


 

  現在、
 1.水酸化ナトリウムが強い薬品で危険である
 2.事後のアルカリ溶液の処理が面倒
 3.火はやけどの可能性がある
などの理由で下記(加熱・強アルカリ法)の方法はおすすめしておりません。「時間はかかるけど環境に優しい紙の作り方」で試行してきた方法(常温・弱アルカリ法)を用いています。方法についてはPDFファイルをご覧ください。

【紙作りの方法】

1.植物を取り,適当な大きさに切って水洗いする.
木や堅い草の場合は皮をむいて使う.木の枝を蒸すと皮をむきやすい
 
2.それをアルカリ水溶液で煮てやわらかくする(2時間から6時間くらい)水で洗って指で触ると皮がばらばらになったらOK
アルカリ水溶液は,水に1リットルに重ソウ(ふくらし粉=炭酸水素ナトリウム)100グラムを溶かしたもの.

 

煮る

3.簡単に水洗いし,漂白剤の入った水につけ,一晩おいておく.その後,数時間以上水洗いする.

 

4.ミキサーに水と一緒にいれてかきまぜる.この時,繊維の間に細かい泡がたまるのが良い繊維.
水に洗濯糊を少し加えると良い(本当の和紙を作る時は,トロロアオイの根 やノリウツギの皮を砕いた粘液(ネリ)を使う).

ミキサー

5.紙漉枠の中に流し込み,均一の厚さに広げる.この時,インクで着色した繊維や押し花などを加えるととってもグッド.

流し込む

6.水を切り,新聞の上に木綿を置いてできた紙をのせる.さらに上に木綿をかけて新聞紙を乗せ,一番上に板をおいて重  しをする.しばらくして水が新聞紙に吸われるので,交換する.急ぐときにはアイロンを使って乾燥させる.乾燥したら,適当な大きさに切る.アイロン用のスプレー糊をかけておくと,文字が書きやすい.

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【注 意】

  • アルカリ水溶液は目や皮膚,衣服に付けない.
  • アルカリ水溶液で煮るときにはステンレスやホーロ,ガラス製品を使う
  • 皮をむくために枝を蒸したり,繊維を取り出すために煮るのに,圧力鍋を使うと加熱する時間が短くてすむ.圧力鍋は使い方を間違えると大きな事故がおきるので,取り扱いには注意が必要である.


ポイント

紙作りには良い繊維をいかにして取るかがポイント.それは下の条件 によって変わるので,いろいろチャレンジしてほしい.

  • 植物の種類
  • 植物の部位(茎の皮,茎全体,葉など)
  • 薬品の種類と濃さ(重ソウより水酸化ナトリウムは強い)
  • 煮るときの温度と時間
  • 煮る前と煮た後の機械的衝撃
  • 植物の乾燥の度合い

やった

私のお薦めの紙材料

 

  • イネ科全般(なんといってもどこにでも生えている.植物全体が使える.特にジュズダマは良い)
  • 水草(植物全体が使える.ホテイアオイだと重ソウでも短い時間でOK)
  • イヌビワとクワ(コウゾやガンピに匹敵するくらい,繊維が取りやすく細かい)

 

 

小技(こわざ)

  • 一つの種類ではなく,いろいろな種類を混ぜて使うと良い
  • 草木の葉や花を押し花にしてすき込むと雰囲気が良い.

 

実際の様子


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