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2019年度

2020年2月10日:徳島県勝浦町で発見された日本最古のスッポンモドキ科カメ類化石について

 徳島県立博物館が、福井県立恐竜博物館や県内化石愛好家などの協力のもとすすめている徳島県勝浦町の恐竜化石含有層の発掘調査で、日本最古のスッポンモドキ科カメ類化石を発見しました。この発見について東京大学で開催された日本古生物学会第169回例(2020年2月7日~9日)で発表を行いました。 

(1)資料についての情報

右下腹甲(図1)
大きさ:前後長 13mm 左右幅25mm
発見場所:徳島県勝浦町に露出する恐竜化石含有層(ボーンベッド)
発見日:平成30年2月12日
発見者:田上浩久氏(徳島県化石同好会)


図1:勝浦町産のスッポンモドキ科カメ類の右下腹甲

右第9縁板骨(図2)
大きさ:前後長9mm 左右幅9mm
発見場所:徳島県勝浦町に露出する恐竜化石含有層(ボーンベッド)
発見日:平成30年12月15日
発見者:徳島県立博物館職員


図2:勝浦町産のスッポンモドキ科カメ類の右第9縁板骨

図3:勝浦町産のスッポンモドキ科カメ類の発見部位(赤色部)
発見部位から、甲長は、約9cmと推定されます。
※白亜紀のスッポンモドキ科キジルクメミスの甲羅をお腹側から見た図。
図の上方向が頭部の出る前方。

(2)スッポンモドキ科カメ類について

スッポンモドキ科は、スッポン科に最も近い淡水生のカメ類です。現在、世界中で1種類(スッポンモドキ)のみが、オーストラリア北部やニューギニア島の一部で知られており、絶滅も危惧されています。最古の記録は、タイの白亜紀前期の地層(約 1億3500万年前)から見つかった化石です。その他の化石記録から、新生代(約6600万年~)にはアジアだけでなく世界中にも分布を広げたことが分かっています。2300万年前以降になると化石の記録が少なくなります。

(3)発見のポイント

  • これまで日本最古のスッポンモドキ科カメ類化石の記録は、福井県勝山市産の化石(約1億2000万年前)でしたが、徳島県勝浦町の化石は、それより約1000万年古く、新たに日本最古(約1億3000万年前)のものになりました。
  • 白亜紀前期のスッポンモドキ科カメ類の化石は世界的にも貴重であり、今回発見された化石はスッポンモドキ科の起源や進化を明らかにするために重要な標本です。

(4)一般公開について

日時:令和2年2月11日(火・祝)~3月1日(日)
場所:徳島県立博物館常設展示室
ラプラタ記念ホール内トピックコーナー

提供資料はこちら

2019年12月20日:徳島県勝浦町の恐竜化石含有層本格発掘調査での「肉食恐竜(獣脚類)の完全な歯化石」の発見について

 令和元年10月下旬から12月下旬まで、福井県立恐竜博物館や県内化石愛好家などの協力のもとすすめている勝浦町恐竜化石含有層本格発掘調査で、中四国初となる肉食恐竜(獣脚類)の完全な歯化石を発見しました。

[発見のポイント]
  • 四国初となる肉食恐竜(獣脚類)の完全な歯化石を発見
  • 肉食恐竜(獣脚類)の歯化石が発見されているのは、中四国地域で徳島県勝浦町のみ
  • 肉食恐竜(獣脚類)の歯化石としては、国内最古級(約1億3000万年前)に相当
  • 肉食恐竜の化石は、植物食恐竜の化石に比べ産出が少ないことから、勝浦町のボーン・ベッドには多くの恐竜化石が含まれている可能性がある

発見場所:徳島県勝浦町に露出する恐竜化石含有層(ボーン・ベッド)
発見日:令和元年12月9日(月)
発見者:作業員

発見化石データ:肉食恐竜(獣脚類の歯)
高さ: 約4cm
幅:  約1.5cm(岩石から露出している部分のみ)

・歯の前後に、細かい刻み(鋸歯)を確認できる。
・獲物の肉を切り裂くのに適した構造。
・鋸歯は、肉食恐竜の歯であると特定する大きな判断基準


推定される肉食恐竜(獣脚類)のイメージ図(イラスト:山本 匠)
歯のサイズのみから、学術的根拠のある恐竜の全長を推定することはできないが、少なくとも勝浦町産の獣脚類は、中型以上の肉食恐竜と考えられる。
※福井県で発見された肉食恐竜フクイラプトル(全長4.2m)と同程度の歯のサイズをもつ。

2018年度

2019年3月11日:国内最古級恐竜化石含有層の緊急発掘調査結果の概要報告(第2回勝浦町恐竜発掘活性化協議会での報告)

  2019年3月11日、徳島県庁にて、恐竜資源を活用した徳島県および勝浦町の地方創生、地域活性化を図ることを目的とした第2回勝浦町恐竜発掘活性化協議会を開催いたしました。この協議会で平成30(2018)年11月末~12月中旬に実施した国内最古級恐竜化石含有層の緊急発掘調査結果の概要報告を行いました。緊急発掘調査では、恐竜化石を含む47点の脊椎動物化石が発見され、そのうち中四国初となる「獣脚類の脛骨化石」や県内5点目となる「竜脚類の歯化石」を報告しました。また、昨年、春に化石愛好家によって発掘され、その後、当館や福井県立恐竜博物館で鑑定作業を進めていた化石1点が、中四国初の「獣脚類の歯化石」と判明いたしました。

獣脚類の脛骨
獣脚類の歯
獣脚類のイメージ図

詳細はこちらをご覧ください。(第2回勝浦町恐竜発掘活性化協議会資料)

2018年8月9日:徳島県勝浦町における「国内最古級の恐竜化石含有層(ボーン・ベッド)」と「新たな恐竜化石等」の発見

 徳島県勝浦町では、平成6(1994)年4月に四国初の恐竜化石である鳥脚類(イグアノドン類)の歯の化石が発見されました。平成28(2016)年にも、2例目の恐竜化石となる竜脚類(ティタノサウルス形類)の歯の化石が発見されています。この2例目の発見を機に、徳島県立博物館が中心になり、福井県立恐竜博物館および県内の化石愛好家の方々の協力のもと、勝浦町内で恐竜化石を含む地層調査を続けてきました。
 過去に徳島県で発見された2例の恐竜化石は、いずれも地層から抜け落ちた転石中から見つかったもので、恐竜化石を含む地層の特定はできていませんでした。しかし、これまで行ってきた現地調査の結果、恐竜化石含有層(いわゆる「ボーン・ベッド」)および新たな恐竜化石等を発見しました。

発見された国内最大級の竜脚類恐竜の歯化石
 発見された竜脚類恐竜の想像図
    (最大歯冠高3.8cm)

詳細はこちらをご覧ください。
記者会見の様子(YouTube動画)

2016年度

2016年8月9日:国内最古級の竜脚類恐竜化石の発見

 平成28年7月3日(日)、徳島県勝浦町の前期白亜紀(約1億3000万年前)の地層から、国内最古級となる竜脚類(恐竜)の歯化石が発見されました。竜脚類は、長い首と尾をもち、大きなもので30メートルを超える植物食の恐竜のグループで、竜脚類の化石の発見は、四国で初めてとなります。
 発見者は、徳島県阿南市在住の化石愛好家の田上浩久さんと田上竜熙さん(中学2年生14才)の親子です。福井県立恐竜博物館と徳島県立博物館の標本鑑定の結果、国内最古級に相当する竜脚類ティタノサウルス形類であることが判明しました。今後、徳島県立博物館と福井県立恐竜博物館が、より詳しい調査研究を合同で進める予定です。


徳島県勝浦町で発見された竜脚類ティタノサウルス形類の歯の化石
(スケールの白黒の間隔:1cm)
(画像提供:徳島県立博物館)

発見のポイント

  • 竜脚類の化石の発見は、四国で初めてです。
  • 竜脚類ティタノサウルス形類としては、国内最古級(約1億3000万年前)です。

発見場所と発見された地層

 徳島県勝浦町には、前期白亜紀(約1億3000万年~約1億年前)の地層が分布しています。この地層の一部は、湖や河川または、汽水域(淡水と海水が混ざる干潟のような環境)でできた地層で、その周辺に生きていた淡水生の貝やシダ・裸子植物などの化石が発見されており、1994年には植物食恐竜のイグアノドン類の歯の化石も発見されました。今回の竜脚類ティタノサウルス形類の歯化石も、勝浦町に分布する前期白亜紀の地層に含まれていました。

竜脚類の歯の化石が発見された勝浦町の位置と白亜紀の地層の分布
(画像提供:徳島県立博物館)

竜脚類ティタノサウルス形類について

 竜脚類は、長い首と尾をもち、大きなもので30メートルを超える植物食の恐竜のグループです。アパトサウルスやブラキオサウルスなどが有名です。巨大な竜脚類は、ジュラ紀に繁栄しましたが、ジュラ紀と白亜紀の境界付近で数が減り、白亜紀の竜脚類はティタノサウルス形類と呼ばれるグループが主流となります。
 福井県勝山市からは、全長約10メートルと推定される竜脚類ティタノサウルス形類のフクイティタンが発見されています。今回勝浦町から発見されたティタノサウルス形類もフクイティタンの歯とサイズが変わらないことから、全長10メートル前後と推定されます。

竜脚類恐竜の想像図
アルゼンチン産のティタノサウルス類の一種の全身骨格標本(複製)
(標本は、徳島県立博物館常設展示室で展示))(画像提供:徳島県立博物館)

発見の意義

 日本の恐竜化石の産出地の多くは、中央構造線の北側に集中しています。中央構造線は、西南日本の地質を南北に分断する断層帯です。地質的に中央構造線より北側を内帯(ないたい)と呼び、南側を外帯(がいたい)と呼びます
 恐竜が生きていた中生代は、日本海は存在せず、日本列島はアジア大陸の東縁にありました。中央構造線より北側の内帯は、アジア大陸に近いため、陸地で堆積した地層(陸成層)が多く分布しています。陸域で生息していた恐竜は、陸成層で見つかるのが一般的です。内帯に含まれる福井県をはじめとする北陸地域から恐竜化石が多く発見されるのは、そのためです。
 一方、中央構造線より南側(太平洋側)にある外帯は、海で堆積した地層(海成層)が多く、陸成層が少ないのが特徴です。そのため、外帯からの恐竜化石の産出は稀です。西南日本外帯から知られている恐竜化石は、群馬県、三重県、和歌山県、徳島県の4県のみです。そのうち、竜脚類の化石は、群馬県、三重県、徳島県で発見されています。今回、勝浦町で発見された竜脚類の化石は、三重県で発見されている恐竜とほぼ同時代の国内最古級のものと言えます。
 また、中央構造線は、白亜紀当時から活発に断層運動をしており、外帯は、現在の位置よりも数百キロ以上、南方にあったと推定されています。徳島県勝浦町産の恐竜化石は、国内で見つかる恐竜の中でも南方に生息していた恐竜の生物相を知る上で重要と言えます。


約1億3000万年前の日本列島 (画像提供:徳島県立博物館)
※図は、平 朝彦(1990)岩波新書「日本列島の誕生」の掲載図に加筆

今後の研究について

 徳島県勝浦町産の竜脚類の歯の化石は、今後、当館と福井県立恐竜博物館が、合同で調査研究を進める予定です。調査研究の結果は、学会発表または、報告書・論文として今後発表する予定です。


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