徳島県立博物館基本構想報告書

 

博物館基本構想検討委員会
昭和59年1月31日


 徳島県知事 三木申三殿

博物館基本構想検討委員会 
委員長  岡   芳 包 

 

徳島県立博物館基本構想について(報告)


 当委員会は,昭和58年3月22日以来6回の会合をもち,文化の森総合公園に新しく建設される博物館の在り方について,専門的立場から調査・検討を重ねて参りました。
 その結果がまとまりましたので,報告いたします。


徳島県立博物館基本構想


  は じ め に

 郷土に根ざし世界に広がる博物館―徳島の自然,歴史,文化の資料を総合的に展示し,全国的・世界的なかかわりについても理界できる施設
 開かれた博物館―博物館の活動に県民のだれもが参加でき,楽しみながら学び,考え,豊かな知識を高めることのできる施設
 研究を大切にする博物館―学術的な調査研究,資料の収集を通して,常に新しい展示と情報を広く提供する施設
 文化財を守り自然の保全をめざす博物館―県民の貴重な文化的資料を永久に保管するとともに,文化財と自然の保護に努める施設
 このような博物館こそが,未来の徳島の誇り高い文化を創造するための中心的な役割を果たし得るのではないでしょうか。
 この小報告は,こうした考えを踏まえ,新しい建設される博物館の在り方を様々な角度から検討したものを取りまとめたものです。

1 名 称
 「徳島県立博物館」とします。

2 位 置
 博物館は,徳島市八万町向寺山及び寺山一帯に建設される徳島県文化の森総合公園に
 建設します。
3 規模・構造
(1)規模
  斜面を効果的に利用した延床面積10,000F程度のものとします。
(2)構造
 資料の保全に十分対応できる耐火・耐震構造とし,豊かな自然環境や周辺に建設される図書館,美術館等の施設と調和のとれたものとします。
 また,将来,増築可能な設計とします。


4 基本的性格
(1)人文科学〔考古,歴史,民俗,美術(近代美術関係を除く。)〕自然科学(動物,
 植物,地学)の両者が有機的に結びついた総合博物館とします。
(2)収集保存,調査研究,展示,教育普及の四つの機能を備え,本県の文化学術,教育
 及び生涯学習のセンターとしての役割を果たします。
(3)国内外の博物館,研究機関等と緊密な協力体制をとります。
  また,文化の森総合公園に建設が予定されている民家資料展示場,植物園等の施設
 はもちろん,県内の博物館,博物館相当施設,類似施設等と相互協力し,その中核的
 博物館としての性格を持つものとします。

5 機 能
(1)収集保存
  資料は,県内だけでなく,必要に応じて広く県外,国外からも積極的に収集します。
  収集した資料については,学術,教育資料として活用し得るよう分類整理し,永久
 に保管します。
  なお,資料収集に関しては,できる限り早い機会に収集展示委員会(仮称)を設置
 し,既存資料の分類,整理を行うとともに,必要な資料の収集を始めます。
(2)調査研究
  本県の考古,歴史,民俗,美術(近代美術関係を除く。),動物,植物,地学につ
 いての調査研究を行います。
  また,国内外の博物館,研究機関等と積極的に情報交換,共同研究を行います。
  調査研究の成果は,取りまとめ定期的に刊行するとともに,資料として充実してい
 きます。
(3)展示
  展示は,常設展示(総合展示,分類展示等)と企画展示とします。
 @ 総合展示
   郷土徳島の姿を総合的に把握する中で,世界的な視野をも得られることを企画し
  て,一定のテーマのもとに人文,自然を有機的に結びつけた展示を行います。
   また,実物資料はもちろん,模型,ジオラマ,ビデオ,スライド等を駆使し,生
  態展示や触れることが可能な展示等興味を抱かせる展示を工夫します。
   テーマについては,今後,収集展示委員会(仮称)において考究,立案しますが,
  一例として次のようなものが考えられます。
   ・四国の自然の生い立ち
    四国の地形と地質の生い立ちを説明し,その大地に生活の場を求めた人々が,
    自然に対応してくらしを発展させてきた姿を展示します。
   ・徳島の歴史と文化
    通史ではなく重点的なテーマを展示することによって,徳島の歴史と文化を浮
    かびあがらせます。
   ・徳島の人々のくらし
    徳島の自然の中でくらしてきた人々の民俗を展示します。
 A 分類展示
   より詳しく知りたい人のために,分類学的及び地誌的な展示を総合展示のアネッ
  クスとして設けます。
 B 企画展示
   博物館独自で行う企画展と,他の関係機関との共催による企画展を年数回開催し
  ます。
 C 教育普及
   講演会,体験学習や講座,巡回展等を開催し,県民に参加を呼びかけるとともに
  図録,資料目録,スライド等の出版物等を通して知識の普及に努めます。
   また,博物会友の会(仮称),ボランティア組織を設置,育成し,県民が博物館
  活動に参加,協力できる体制をつくるとともに,各種同好会の育成にも努めます。
   さらに,エレクトロニクスをはじめとする最近の技術を用いて,情報の提供と交
  換が各地域にいながらできる施設・システムを計画します。

6 施設・設備
(1)利用者空間
 @ 展示関係
   常設展示室(総合展示室,分類展示室),企画展示室,展示準備室等をおきます。
   面積は,2,500F程度とします。
 A 教育普及関係
   講堂,教室,玄関ホール,インフォメーションセンター,実習室,体験学習室,
  視聴覚関係室等をおきます。
   面積は,1,000F程度とします。
(2)学芸空間
 @ 調査研究関係
   学芸員室,各種研究室,図書室,実験室,器具室,写場,暗室,マイクロ撮影
  室,工作室,洗場,乾燥室等をおきます。
   面積は,1,000F程度とします。
 A 収蔵関係
   各種収蔵庫,資料整理室,一時保管庫,荷解梱包室,資材置場,燻蒸室,修理室
  等をおきます。
   面積は,2,500F程度とします。
(3)管理空間
 @ 管理関係
   館長室,応接室,事務室,会議室,更衣室,警備室,救護室等をおきます。
   面積は,500F程度とします。
 A その他
   機械室,監視室,その他の共用部門とします。
   面積は,2,500F程度とします。

7 組織と管理運営
(1)スタッフの充実
  県民の博物館として愛され信頼されるためには,館長,学芸員等のスタッフに専門
 的な識見を備えた人材を得ることが何よりも重要です。
  今後,できる限りスタッフを充実していきます。
(2)管理運営
 @ 休館日は,土曜,日曜を避けるとともに,定期的または季節的な夜間開館を検討
  します。
 A 博物館運営協議会(仮称)を設置し,館運営に関しての館長の諮問機関とします。
 B 文化の森総合公園に建設される図書館,美術館などの文化施設と連携を深め,相
  互に開かれた一体的な運営をめざします。

付帯意見
 当委員会は,この博物館が県民のだれからも愛され,かつ,信頼されるものであること
を願うものである。
 ついては,基本構想でも述べましたが,収集展示委員会(仮称)を当委員会に引き続き
設置し,展示基本構想を検討,策定するとともに,博物館運営の命運を握る館長,学芸員
等のスタッフについても,専門的識見を備えた優秀な人材を建設準備段階から確保するよ
う希望します。
 また,文化の森総合公園に建設が予定されている民家資料展示場,植物園等の施設につ
いても,その実現と,博物館と一体化した運営がなされるよう希望します。



   付 属 資 料

     博物館基本構想検討委員会のとりきめ

 (設 置)
第1 徳島県が文化の森総合公園に建設する博物館の基本構想を検討して,その結果を知
 事に報告するため,博物館基本構想検討委員会(以下「委員会」といいます。)をもう けます。

 (構 成)
第2 委員会は,10人以内の委員で構成されます。
  2 委員は,学識経験者のなかから知事が委嘱します。
 3 委員は,委員会が知事に報告を行ったときは解任されるものとします。
 4 委員は,地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第3項第3号に規定する
  非常勤特別職とします。


 (委員長)
第5 委員会に委員長を置きます。
  2 委員長は,委員会を取りまとめ委員会を代表します。
  5 委員長は,委員が委員のなかから選びます。
  4 委員長の都合のよくないときは,あらかじめ委員長がきめた委員が委員長の役目
   をします。

 (会 議)
第4 委員会は,委員長が招集します。
 2 委員長は,専門的知識を持つ人に出席してもらったり文書などで意見を述べても
  らうことができます。

 (執酬と費用弁償)
第5 委員の報酬と費用弁償は,特別職の職員の報酬及び費用弁償に関する条例施行規則
 (昭和34年徳島県規則第24号)の定めによります。

 (庶 務)
第6 委員会の庶務は,企画調整部広聴県民室がつとめます。

 (その他)
第7 このとりきめにきめるもののほかに委員会の運営に必要なことは,委員長がきめま
  す。


  附則
 このとりきめは,昭和57年12月25日から行います。




       博物館基本構想検討委員会
             (◎委員長 ○委員長代理 50音順)
 (委 員)
   阿 部 近 一  県文化財保護審議会委員
   岩 崎 正 夫  徳島大学教授
   上 田 健 三  石井町立石井小学校長
  ◎岡   芳 包  県教育委員
   垣 塚 千代子  徳島市立入田小学校長
   酒 井 勝 司  四国女子大学教授
   高 橋   啓  鳴門教育大学助教授
   松 村 益 二  県教育委員
   大 和   恒  徳島新聞社論説委員
 (特別委員)
   千 地 万 造  大阪市立自然史博物館長
   坪 井 清 足  奈良国立文化財研究所長

 

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